ギフトマナー辞典
ギフトの老舗シャディが贈るGIFT MANNERS
メニュー
枕飾りに関する基礎知識・宗教による違いを理解しよう
枕飾り
 

枕飾りに関する基礎知識・宗教による違いを理解しよう

故人がご臨終を迎えてから通夜までにご遺体を安置している期間にも、やる事はたくさんあります。枕飾りにはどのような意味があるのか、必要なものや配置方法、知っておきたい基礎知識をご紹介いたしますので、参考になさってください。

枕飾りとは

枕飾りの意味と目的

枕飾りとは、亡くなった方をご自宅に安置した際に設置する簡易的な祭壇のことです。お通夜が始まる前に弔問頂く方もいますので、お線香をあげたり、故人と対面したりするための場所を必要とします。そこで枕飾りを設置し、一時的な弔いの場所とするのが目的です。
そして、故人にとっての枕飾りは、体から離れて間もない魂が食欲や睡眠欲などに対する執着を解くための意味合いもあり、枕飾りを設置したところで僧侶に読経をお願い、成仏を支援します。
ちなみに、枕飾りを設置した後に行われる読経は、「枕経・枕勤め」などと呼ばれます。僧侶が到着した時には枕飾りをきちんとした形で整えておく必要がありますので、寺院に連絡する際には、必要な仏具の準備ができている状態にしておきましょう。そして故人の名前・享年などを伝え、枕経の日時を調整します。ちなみに枕経の際、ご遺族は平服でも構わないとされていますが、最低限数珠を用意するのはマナーとなっていますので、覚えておきましょう。

枕飾りの配置・準備方法

仏式では白い布をかけた台を用意して、仏具を設置していきます。基本となるのは、線香と香炉です。成仏した際に故人があの世で迷わないように燭台を置き、足元を照らします。花瓶には、仏様にお供えする「樒 (しきみ)」を用意しましょう。しきみの代用として、菊や百合、水仙が使われる事もありますので、手に入らない場合それらで代用すれば問題ありません。
ちなみに香炉・燭台・花瓶は、合わせて「三具足」と呼ばれます。香炉が手前中央、花瓶を左手奥、燭台を右手奥にするのがおおよその配置ですから、葬儀社から受け取った見本の通りに従いましょう。三具足以外には、枕団子と一膳飯、水、鈴が必要です。一膳飯とは、茶碗いっぱいに盛りつけたご飯の事で、高く盛りつけるほど望ましいとされています。なぜなら、量が少ないと現世に対する未練が残るとも言われますので、山盛りに作るのが一般的です。そして仕上げに一膳飯に箸を立て、この世の未練を断ち切ります。

必要な費用の目安

枕飾りをご自身で用意すると、どうしても費用が高くなってしまいます。セットで購入する場合は1万円〜3万円くらいで用意できる事もありますが、急な不幸ごとですので、費用に関して考える時間がない方も多いでしょう。
最近では、葬儀社の安置所を使うケースも多く、一式レンタルするご遺族も増えています。設置も担当者に一任できるので、様々な負担が軽減できるので、人気です。時間がない中で全て用意するのは大変なので、必要に応じて業者のサポートを検討するのもよいでしょう。

神道やキリスト教の枕飾り

神道の場合は?

神道の枕飾りでは、八足机と呼ばれる神式の儀式に必要な机を用意します。その上に三方と呼ばれる台を置いて、米・塩・水・お神酒を設置しましょう。故人の好物であった肉や魚、普段の食事に近いものを置く事もあって、厳密なルールはないようです。
三方を囲うようにして花瓶と燭台を置き、花瓶には榊(さかき)をさすのが一般的です。神道における榊は神と人間の境界にある木とされていて、古くから神事に使われてきました。仏式のように花を供える代わりに、榊を使うと考えてください。
神道の場合は、故人が亡くなった事を氏神様に奉告する必要がありますから、世話役や近所の方の協力が必要です。ご遺族は喪に服す必要がある事から神社に入ることはできませんので、代理をたててご報告に行って頂く事になります。枕飾りの準備をしつつ、その後の対応についてもよく考えておくことは大切です。近所の方にお願いできる方がいない場合は葬儀社に相談する事もできますので、一連の対応を急ぎましょう。
奉告に伺った際に葬儀の日時も調整して、簡単な打ち合わせをすませることとなります。日時を調整したいなど特別な要望があれば、あらかじめ奉告をお願いする方に伝えておくと、対応がスムーズです。

キリスト教の場合は?

キリスト教には枕飾りの風習自体がないのですが、ご臨終を迎えてすぐの儀式で準じるものを作る習慣があります。小さな台を白もしくは黒の布で覆い、蝋燭や白い花、十字架や聖書を置きます。仏式や神式と同じように、パンや水を置く事もあるようです。
キリスト教では臨終を迎える方の意識があるうちに神父を呼び、終油の秘跡(しゅうゆのひせき)を行います。生前に犯した罪に対し、許しを得るための儀式です。この中で必要な聖油つぼを置くことも多く、額と両手に聖油を塗ることによって、神のご加護を祈ります。
臨終を迎えた後も、いろいろな対応が必要です。神父が臨終の祈りを捧げている時にはご家族が寄り添い、共に祈りましょう。ご遺体の清拭は病院や葬儀社におまかせするあり方が一般的ではありますが、できる限りご家族が手伝う気持ちは重要です。死に化粧も肉親が行うあり方が推奨されますので、念頭に置いて行ってください。