お祝いにふさわしい贈りものは?

つき合いや関係に応じた品選びを

人生には節目節目にさまざまなお祝いごとがあります。こういった機会に接した場合、日頃のつき合いや関係に応じて心を込めた贈りものを選びましょう。

誕生祝い

上司・恩師など目上の人へ

お返しの心遣いをせずにすむような、ちょっとした贈りものがいいでしょう。金額よりも喜ばれる品を考えるのがいちばんです。
男性へ贈るなら、ひげ剃りセットやウイスキーなど好みのお酒、ぐい呑みなども晩酌を欠かさない人に喜ばれます。女性へ贈るなら、香水やスカーフ、写真立てやジュエリーボックスなども素敵です。

友人・同僚へ

親愛の情の表れですので気取った品を贈るのではなく、実用品や趣味の品などが適しています。
例えば、名刺ホルダーやキーホルダー、財布など。煙草を吸う人ならライターや灰皿なども考えられます。無難なところではマイ・カップ。趣味の品としては、ゴルフ好きならティーセットやボール、スキーをするなら帽子や手袋など、あまり高価すぎない小物を。

出産祝い

上司・恩師など目上の人へ

個人的に贈るよりも部下や教え子が集まってお祝いをするほうが自然です。品物は、生まれた子供用の玩具やベビーウェアが一般的ですが、子供の両親へ紅白ワインのセットや写真立て、アルバムなどを贈る方法も。あくまで受ける側に負担にならないような品選びを。

友人・同僚や部下へ

お祝いの金額は三千~五千円が目安。おもちゃや育児用品のほか、生後一年くらいに使えるベビーウェアが意外に喜ばれます。数人で贈るときには、ベビーカーなどの大きなものを贈るのも。親しい間柄なら欲しいものを尋ねるのがいちばんです。

親戚・きょうだいへ

一万円~二万円を目安に、現金や実用的な品を贈るのが一般的。品物なら授乳用品や育児用品、玩具など、いくつあってもいいものや三~四か月後に使うものも喜ばれます。また、女性なら産前産後のお手伝いなど労力奉仕も肉親ならではのお祝いです。

内祝い

いただいたお祝いの半分から三分の一程度の金額でお返しを考えます。よく使われるのは、砂糖や鰹節、タオルや石けんのセットなど。漆器や陶器、インテリア小物、カタログギフトなども人気があります。

入園・入学祝い

上司・恩師など目上の人の子供へ

入園や入学に関しては、よほど親しい間柄で、子どもとも面識がある場合でなければ贈る必要はありません。それでも何かお祝いを、と考えるなら文房具などの学用品、図書券やお弁当箱など、相手に負担にならないような品を。お祝いのカードだけでもいいでしょう。

友人・同僚や部下の子供へ

三千円~五千円を目安に、お祝い品を選ぶのが無難。レインコートや傘などの日用品、知育玩具や絵本などが最適です。また、手提げ袋や上履き入れなどをつくって贈るのも一つ。親しい間柄なら、子供の親に必要な品物を聞いて贈るといいでしょう。

親戚・きょうだいの子供へ

お祝い金の目安は、五千円~一万円。現金のほか、文具券や図書券、商品券などにして贈る方法もあります。品物なら、日常に着る服や靴、子供が喜びそうなバッグなどを。最近では、子供が欲しいテレビゲームのソフトを贈るケースも増えてきたようです。

内祝い

基本的にお返しは不要とはいえ、お礼の気持ちは伝えたいもの。お礼状は必ず出すようにしましょう。この際、本人からも直接感謝の気持ちを。学齢前の子供でも「ありがとう」のひと言は自筆で添えたいものです。

卒業・就職祝い

知人・友人の子供へ

子供の親とつき合いがあるという関係なら、別に贈りものをする必要はありません。顔を合わせたときに「おめでとう」のひと言をかけるだけで十分でしょう。ただし、本人とも面識があり「あの子に何かお祝いを」と思うなら、名刺入れやキーホルダーなどちょっとした贈りものを。

後輩へ

社会人の先輩として、これからの生活にふさわしいと思われるものを贈りたいもの。システム手帳やボールペンなどの実用品のほかには、CDや本など趣味にちなんだものを選ぶのもいいでしょう。また、パーティを開いてあげたり、食事に招待するという祝い方もあります。

親戚・きょうだいの子供へ

社会人として必要になるものを選びます。男性へ贈るならネクタイやワイシャツ、鞄や財布など。女性ならスカーフやアクセサリー、化粧品なども。趣味や好みもありますので、商品券にしたりカタログギフトで好きなものを選んでもらうのも現代的な方法です。

内祝い

社会人になったからには、親の知り合いに対しても本人からお礼をするのが基本。まずはお礼状を出します。お返しには、初給料の折りに手みやげをもって改めてお礼のあいさつに伺うといいでしょう。

結婚記念日祝い

仲人を務めた夫婦へ

記念日にはお祝いのカードを贈りましょう。何か品物を贈るなら、夫婦で気軽に楽しんでもらえるワインやブーケ、ベアグラスなど。また、十年目や二十年目などの大きな節目には記念日にちなんだ品物を。

友人・知人へ

親しい間柄なら、記念日の名称にちなんだ実用品を。例えば、一年目の紙婚式なら紙ナプキンやレターセット、五年目の木婚式なら木製の調度品などが考えられます。大きな節目の記念パーティに招待された場合は、調度品やアクセサリー、高級陶器、漆器などが適しています。

家族・身内へ

二人で外出できるよう子供を預かるなどの気遣いもお祝いのうちです。ぺアの服や食器などのほか、銀婚式くらいになれば観劇券や旅行券などをプレゼントすることも。本人たちの健康状態や意思によっては、子供たち主催でお祝いの会を開き親しい人たちを招くのもいいでしょう。

内祝い・記念品

祝いの会を開くなら、二人が寄せ書きした色紙や扇、手製の工芸品など簡単な記念品を。周囲の人の主催なら「内祝」として色紙額や夫婦箸など。また、会を開かなくてもお祝いをいただいた場合は、二人らしさが感じられる調度品を内祝いに贈るといいでしょう。

長寿祝い

上司・恩師など目上の人へ

お世話になった方には、何か記念となる贈りものを。例えば、還暦なら現代風に赤いベストなどの衣類、第二の人生を楽しむ趣味の品などが適しています。部下や教え子が集まって旅行や食事会に招待しても喜ばれます。ただし、健康状態に気を配り無理のない程度に。

友人・同僚などへ

お互いに祝い合うような会を開いてはどうでしょうか。例えば、還暦ならゴルフコンペを開いて全員が赤い帽子をかぶるというのもアイデアです。このほか、お茶会や謡の会、会食などをするのも楽しい企画でしょう。

家族・身内へ

いつもより派手に誕生祝いを催し、釣り竿や碁盤、カメラなど趣味の品を贈るといいでしょう。健康状態によっては寝具や部屋着などでも。また、本人の意向を尋ねたうえで子供たちが費用を分担し、親しい人を招いて長寿祝いを催すのも一つの方法です。

内祝い

お祝いをいただいたり、会を催してもらった場合は、干支にちなんだ調度品など記念品を贈ります。いただいた品の半額などと考える必要はありません。また本人主催で感謝の会を開くことも。この場合は、記念に色紙を書いて配るなどするといいでしょう。

結婚前後に必要な贈りものは?

意味と目的を踏まえてふさわしい贈りもの選びを

結婚の前後には、それにまつわる贈りものの機会が数多くあります。それぞれに意味があり、またしきたりがあり、しかも地方や家によって多種多様に変わるため、一つ間違うと取り返しがつかないことになる場合も。そういったことを防ぐためにも、先方の心の機微に触れる品を選び、体裁を整えて機会ごとに贈り物をすることが基本。また、この基本を守ってこそ、初めて心と心の懸け橋となる贈りものの意義が生きてくるのです。
とくに、ギフト業に携わる人なら慣例に根ざす意味や目的を踏まえ、現代へのアレンジを試みるセンスを心得ておくべき。それがワンクラス上のサービスでしょう。

(1) 相手宅への初訪問

結婚を前提とする交際相手の家族に初めて会うときには、形の整った食品を手みやげに選ぶのが無難です。家族の好みなどを事前に相手に尋ねたうえで、老舗の菓子折やワイン、郷里の名産品などを。こういった相手の家族の好みを理解する心配りが、先方に好印象を与えるポイントになると思われます。
恋愛による結婚が増えた現代では,本人同士の意志が固まってから親同士が顔を合わせるケースも少なくありません。こういったときには、親同士の初対面で名刺代わりの品を交換します。品物には、名店や老舗の品、郷土の名産などから祝い事にふさわしいものを選べばいいでしょう。贈答体裁は、この段階までなら略式ののし紙でもかまいませんが、婚約の際には正式な贈答体裁に整えます。

(2)婚約・結納

婚約の際には、昔からの決まりである酒や肴を。これは、酒肴を共にして心を通い合わせるため。形式を重んじる地方や家なら縁起の良い銘柄の日本酒を選ぶのがコツです。先方が右党なら祝い肴や祝儀用の菓子がいいでしょう。しきたり通りに親が結婚の申し入れをするなら、水引を結び切りにして体裁を整え、地方に合った祝い肴と酒、祝儀品を持参します。
結納に関しても、地方によってそのしきたりや方法が異なります。お互いの家同士の考え方も含めて本人同士が話し合い、そのうえで何を、いつ、どういった形で贈るか決めるべきでしょう。
具体的に、結納の際の婚約記念品としては、女性にはダイヤモンドか誕生石など宝石入りのエンゲージリングを贈るのが一般的。男性には時計やスーツ、宝石をあしらったネクタイピンとカフスボタンのセットなどを贈ることが多いようです。贈り方は、どういった形をもって婚約とするかによって変わってきます。詳しくは、本書の「婚」の章・婚約の部分をご参考に。

(3)婚約中の訪問

婚約中の相手とその家族への接し方は、親しい親戚とのつき合いと考えるといいでしょう。出過ぎず、ケチらず、ほどほどにするのがいちばん。相手宅を訪ねるたびに手みやげを買っていくのもかえって気を遣わせることになりかねません。ケーキやクッキーなど手づくりのものをおすそ分けという形で手みやげにする程度がいいでしょう。
また、相手の家族の誕生日や入学・卒業など祝い事には心を込めて選んだプレゼントを。この場合、目上の人に贈るべきではない品もありますので、注意が必要です。あくまで、親しいながらもまだ家族ではないというけじめを忘れないようにします。

(4)仲人へのあいさつ

仲人宅へあいさつに伺うときには、やはり形を整えた品物を手みやげに選びます。二人で事前に相談して選んでおくのが常識で、道中で適当に見つけた品を買うようなことは禁物です。威儀を正した品物としては、洋酒や老舗・名店の菓子折などを選べばまず間違いないでしょう。このほかには季節の鮮魚や高級魚肉製品、祝い事にふさわしい銘柄の日本酒なども考えられます。
お礼の金包の台敷きにも同格のものを。かつては足袋三足や草履などの習慣もあったようですが、現代なら酒や調度品、高級漆器や陶器などがふさわしいでしょう。

(5)引出物

引出物は、本来一人ひとりに渡すもの。ですから、記念品的な品よりも一家にいくつあってもうれしく、二人らしさが反映するものがいいでしょう。最近では、重くて荷物になるものは敬遠され、招待客が好みの品を選べるカタログギフトなどの人気が高まっているようです。
ただ注意したいのは、引出物にも地域性があるということ。地域に根ざした披露宴を開くなら、こういったこともわきまえておくべき。また、予算の都合で別々の品にしたり、とくに主賓のみ高級品にするのもマナー違反ということを覚えておきましょう。

(6)嫁のみやげ・婿のみやげ

挙式後、先方の家族に初めて会うとき「嫁、婿のみやげ」を贈ります。これは、お互いの家族と親子や兄弟関係になったあいさつの品。贈る時期や範囲に関しては結納の折りに持参するなど、地方により異なるしきたりがあるので、地方や家の習慣を互いに話し合って決めましょう。
贈る品は、現在では洋品雑貨がほとんど。ベルトやバッグ、傘やマフラーなどの実用品のほか、茶器や酒器、調度品、趣味の品なども使われます。体裁は、金銀か紅白の結び切りの水引を。表書きは意味を明らかにする「おみやげ」がいいと思います。贈り主名は嫁、婿の名前だけを。このほか、神棚や仏壇のある家にはロウソクや酒を「御神前」、お線香を「御先祖様」として贈ります。

(7)内祝い

披露宴に招かなかった方には内祝いを贈ります。一般的には、お祝いの半額程度の品を挙式後一か月以内に贈 るのがしきたりです。しかし、本来、内祝いとは祝ってくださった方やお世話になった方に、本人たちの喜びを分け与える意味で贈るもの。披露宴でもてなすことも内祝いの一つであるわけです。ですから、披露宴に招待できなかった人を含めて、必ずしもお祝いをいただいた場合にのみ贈るものではありません。世話になった方など喜びを分け与えたいと思う人がいるなら、気を遣わせない程度の品を選んで贈ってかまいません。
贈る品物は、近所や同僚などへはお赤飯代わり程度の品。砂糖や菓子折りなどのほか、しゃれた実用品などを配ればいいでしょう。若い友人などにはルームアクセサリーや家庭用品などモダンなものを。親戚に贈るのは記念となるような漆器や陶器、インテリア用品。年配の人、へは鰹節などの祝儀用品が無難でしょう。
贈答体裁は、紅白十本結び切りののし紙で、表書きは「内祝」に。贈り主名は、新しい姓で二人の名前を連記 します。こういったことも、一人前の夫婦として歩み出したからには親任せにせず、本人たちで手配したいもの。 しかし、親の知人などへ内祝いを贈る場合は、本人たちかあいさつ状を添えるだけでなく、親からも礼状を出すようにしましょう。

(8)あいさつまわり

結婚前後の贈りものの物の中で最後になるのがあいさつまわりの品。かつてのように実家の近所へあいさつまわりに母親が嫁を連れ歩く必要はありませんが、互いに結婚した相手を紹介するためにも二人で伺うようにしましょう。現在では、親しくしているお宅へ伺うだけでいいでしょう。また、親戚へのあいさつも同様、本人二人で伺うのが当然のこと。それよりも大切なのは新居の近所。時期は、新居に住み始めた当日か翌日までに。早朝や夕方などの忙しい時間帯を避けるのは当然のマナーです。近所などへのあいさつまわりの品は、地方の習慣に基づいて考えるのが無難。若い世代が多い新興住宅地なら、はがき十枚や石けん、タオル、クッキーなどがよく使われているようです。古いしきたりが根強く残っている地方なら、回礼半紙や懐紙、鰹節や風呂敷などの風習にのっとったものを。いずれも受け取る側に負担にならないものを贈ります。品物には結び切りののし紙をかけ、姓をしっかりと記入します。表書きは「ごあいさつ」。
また、仲人宅へは新婚旅行から帰ったらすぐに二人そろってお礼と報告のあいさつに伺います。このときは旅 行先で求めた少し高価な洋酒か名産の調度品などを添えるか、改った形の菓子しくは酒肴を贈ります。