近隣とのおつき合いで大事なことは?

顔を合わせたときにはあいさつを

近隣の方々と必要なときには助け合える関係を築くには、日頃のあいさつが大切です。友人でも知人でもなく、単なる顔見知りに声をかけるという行為は、はじめはたしかに少し勇気がいります。けれども、互いの存在を認め合うという意味でも近隣の方と顔を合わせたら「おはようございます」「お帰りなさい」といった言葉を自然にかけ合うようにしましょう。

かといって「どちらへお出掛け?」などと尋ねるのは考えもの。プライバシーに立ち入らない程度のコミュニケーションがコツなのです。

近隣の家族の名前を覚える

近隣の家族構成くらいはお互いに知っておいたほうがなにかと便利です。顔と名前くらいは覚えておくようにしましょう。家を留守がちにする家庭の場合はとくに勤務先や緊急時の連絡先をメモして交換しておくことをおすすめします。子供が一人で留守番をしているときに異変があったり、近所に災害が起きたときなど緊急通報しなければならないときに役立ちます。

なにげない親切を日頃から実行する

自宅の玄関前を掃除するときには、家の前だけでなく、せめて両隣ぐらいまではきれいに掃除しておきましょう。あまりおせっかいが過ぎるのも考えものですが、些細な好意を積み重ねることが、ご近所づき合いをスムーズにする秘訣なのです。

ペットの飼い主はマナーを守る

ペットは、飼い主にとってわが子同様にかわいいもの。けれども、なかには動物嫌いの人、アレルギー体質の人もいますから、近隣の人々に迷惑をかけないようしっかりとしつけておかなければなりません。とくに気をつけたいのが鳴き声と散歩の際のフンや毛の後始末。飼い犬は運動不足になると必要以上に吠えることがありますので、飼い主の責任として鳴き声が近隣の騒音とならないよう注意します。出掛けるときは、フンの始末を忘れずに。ペットショップには、自分の手を汚さずに汚物を処理するアイデアグッズがたくさん販売されていますから、そういったものを持参します。

グリーンを育てるならしつかりお手入れを

手入れの行き届いた庭先は、道行く人の心を和ませます。けれども、ペット同様、植木もご近所づき合いの問題のタネとなることもあります。庭木を植えたり、鉢を置くときには、虫のつきやすい種類は避けるようにしなければなりません。そのほか、隣の家や道に枝葉がはみ出したりしないように、定期的に手入れするように心掛けましょう。

トラブルを避けるためのポイントは?

ルールを守って秩序ある生活を

近所づき合いで起こりがちなトラブルは、それぞれの地域ごとにある決まりや習慣などのルール違反が多いようです。たとえば、ゴミの収集日と場所、共有スペースの清掃、街灯や下水道の管理など、快適な生活を守るための規則や約束事をしっかり守るようにしなければなりません。こういった決まりを守ることは、地域社会のメンバーとしての最低限のエチケットであり、当然の義務なのです。

秩序を乱す人には伝言メモで呼びかける

ゴミを出す日を間違えたり、分別しないで出すような人がいて周囲に迷惑をかけているようなら、注意したり、伝言メモなどを使ってルールを守るよう呼びかけましょう。そのときには、個人的に伝えるのではなく、共同体としての意見を代弁するように伝えることが大きなポイントです。

噂話には耳を貸さない

昔から "他人の口に戸は立てられない"という言葉があるように、他人の噂話というものはあっという間に広まっていくものです。それだけに、相手をほめるような内容であったとしても、その場にいない人の話題に花を咲かせることは注意しなければなりません。もしも、話題を変えずに相手の調子に合わせて聞き上手でいると、人から人へと話が伝わっていき、あなた自身が噂の発信源とされかねないからです。近隣の方と立ち話をするうちに話題が他人のプライバシーに関する内容になっていきそうだったら、さりげなく話題を変えることが得策だと言えるでしょう。同意を求められたとしても「私ってぼんやりで、そのへんのことちっともわからないのよね」「なんだかのどが渇いたわ。お茶でも入れましょうか」とごまかしていればいいのです。まちがっても「そうねえ」などとあいまいな返事で受け答えするのはやめましょう。

借りたものはできるだけ早く返却する

現金や高価な品物となれば、誰もが慎重に取り扱いますから簡単に貸し借りすることはまずないでしょうが、雑誌やビデオとなると、つい「今度会った時にでも返せばいいわ」と気安く考えてしまいがちです。

物に対する価値観は人によってかなり差がありますから、借りたものの値段に関係なく、どんなに些細な品物であっても大切に扱うようにし、なるべく早く返すようにしましょう。「そのうちに・・・」などと考えているとうっかり紛失してしまったり、ルーズな人だと信頼を失うことになってしまいます。すぐに返す自信がないのなら、物の貸し借りは避けるようにするべきでしょう。

集会や共同作業での心得は?

地域の活動には積極的に参加する

地域の方々と気心を通わせ、地域社会に溶け込むには、集会や共同作業へ積極的に参加することです。地域の自治体などで実施される催しには、時間が許すかぎり参加するようにしましょう。

自治会の役員として選出された場合にも、自分たちが生活する地区なのですから快く引き受け、少しでも協力するのが住民としての務めです。役員に数多くの役割分担があるのなら、自分の得意分野で才能を発揮するのもいいですし、苦手分野にチャレンジするのもいいでしょう。とにかく、参加することで地域に役立つ一方、地域を理解し、愛着も深まり、自分自身にも新たな体験としてプラスになるのですから、前向きに取り組みたいものです。

共同作業は住人としての義務

マンションの駐車場や住宅内の共有スペースの清掃、年に一度の大掃除などは、地域住人が共同して行うことが多いようです。こうした共同作業はできるだけ休日に実施するようにし、仕事を持っている人も無理なく参加できるようにしましょう。そうすれば、主婦の参加ばかりが目立つこのような集まりに、男性も共働きも出席しやすくなります。日頃は地域の人々と交流するチャンスがない人たちこそ参加するように心掛け、コミュニケーションを計ることが大切です。

Column

集合住宅の共有スペースで気をつけたいこと

エレベーターや階段、廊下、中庭など、集合住宅の共有スペースではマナーをわきまえなければなりません。

たとえば、メールボックスから郵便物を取り出すときに、投函されていた広告やチラシ類を数枚落としてしまっても「自分には必要のないものだから・・・」とそのまま立ち去ってしまうなどモラルに反します。自宅の玄関ならゴミを散らかしたままにする人はいないのに、共有スペースとなると、つい気がゆるみがちになってしまうのでしょう。自分が出したゴミでなくても目についたものは拾って捨てるように心掛けましょう。

これは自転車置き場でも同様で、乱雑な並べ方になっていたら次に自転車を置く人のために整理してあげるくらいの心づかいが大切です。そのほか、人々が通路として利用する廊下に個人的な物を置いてしまうと通行の妨げになります。店屋物の食器類もつまずく原因になりかねませんし、見た目にも美しいものではありません。できれば、引き取りにくるまでの間は室内に置いておくべきでしよう。

開放廊下などでの騒音にも気をつけなければなりません。おしゃべりするうちについ声高になってしまうことも多いもの。そうなれば、人の話し声も一つの騒音です。訪問客を見送ったり、子供連れでの外出時などにも注意しましょう。