お正月

お正月とは

 お正月の行事は年神を迎えてまつるのが基本の精神です。玄関には門松を、神棚にはしめ縄を、床の間にはしめ飾りと鏡餅を飾りましょう。初詣では早い人は除夜の鐘を聞きながら詣でますが、元旦から7日までに行けばいいでしょう。  年始まわりでは親や恩師など特別にお世話になっている方の家へうかがいます。その際、できれば暮れのうちに都合をたずねて予約しておき、2日から7日までの間にうかがうのがマナーです。年賀の品はごく簡単なもので十分ですが、お歳暮を贈っていない場合はそれに準じた品にのし紙をかけ、表書きは「御年賀」としましょう。  お正月の祝いの膳はお雑煮とおとそ、おせち料理ですよね。おせち料理は四段重ねと控え重ね一つが基本ですが、最近では伝統的な形以外に洋風料理や中華風にアレンジしたものもどんどん出てきています。ぜひ自慢の料理などを盛り込んで、我が家らしいおせち料理をアレンジしてみましょう。  お年玉は親から子や孫へはもちろん、老親に贈るのもいいですね。金額は子供たちの経済感覚に合わせて、だいたい一ヶ月の小遣い程度でいいでしょう。
Column

おせち料理は、日本料理の集大成

現在のように、グルメ風潮に慣れてしまった世代には、おせち料理は古めかしい伝統の料理としか思えないかもしれません。しかし、本来のおせち料理はその内容や組み合わせに栄養や味覚のバランスが取れ、重箱への詰め方も合理的で美的にも完成度が高く、日本料理の集大成とも思われるほどのもの。しきたりどおりおせち料理をつくるのは、いまの家庭では大変なことですが、この料理の基本的精神は現代でも大いに生かすことができるはずです。日本人の生活の中で育まれてきた祝い膳のあり方を取り入れ、我が家なりの「おせち料理」にアレンジしたいものです。

地方別・正月行事

北海道地方

北海道は開拓時代の歴史を持っている地方だけに、初期に訪れた移住者の故郷の習慣がお正月はもちろん、ほかの年中行事にも影響しています。このため各家庭の祖父母の故郷の味やつくり方を反映して、お雑煮などは千差万別です。

東北地方

農耕に関する行事はいまも続けられているのが青森県。津軽地方の岩木山神社と猿賀神社では、旧暦一月七日に「七日堂祭り」という年占の神事が、八戸市では二月に「えんぶり」という豊作を祈る小正月の田植え踊りが行われます。また、秋田県の「かまくら」は、全国的に有名な小正月の行事。これは水神を祀って送り出す前に一緒に遊ぶ行事で、いまでは二月中旬に行われています。

関東地方

茨城県では、家庭によって正月三が日は餅を食べずにうどんを食べる、または焼いた餅と塩鮭を一緒に食べるなど、めずらしい祝い膳があります。

北陸地方

一月六日の夕方から七日にかけてが一年でいちばん大切な期間とされているのは富山県です。この夜は「六日年取り」や「神の年越し」と呼ばれています。十一日には田畑の神様に五穀豊饒を願い「お鍬さま」という儀式も行われます。

甲信・東海地方

みそ味のお雑煮が一般的な山梨県には、あんの入ったあんころ餅を入れる家庭も。山梨の小正月のどんど焼きは「きっかんじょ」と言われ、小屋をつくったり、神木(神の寄代)を立てるならわしが残っています。

近畿地方

大阪市の今宮神社では、一月九日から十一日まで「十日戎」が開かれます。商売繁盛で有名なこの神社には、近畿各地から多くの参拝者が訪れ、「大阪のお正月は今宮十日戎で明ける」とも言われています。

中国地方

島根県西石見地方の雑煮は、いりこか干し鮎でだしをとって、しょうゆで味つけしたもの。餅のほかには、黒豆だけを入れます。雑煮以外に、山口県萩地方では、ぜんざいを煮詰めた中に紅白の団子を入れた「いとこ煮」という祝い料理を食べます。

四国地方

一月七日を「七日び」、「七日せっ〈」などと呼んで七草粥を食べる風習が残っているのは徳島県。七草をまな板の上に置いて、「唐土の鳥が日本の土地へ渡らん先にストトン」などと唱えながら、れんぎでたたく習慣がありました。

九州・沖縄地方

福岡県全域で、門松を簡略化して、しめ飾りを念入りに飾る習慣が一般的です。一月七日の夜には、太宰府天満宮で「鬼すべ」、久留米市の大善寺玉垂宮で「鬼夜」という行事が行われています。沖縄県の正月料理には、豚肉を神様に供え、家族も食べるようにします。品数は奇数が好まれますが、特別決まってはいません。