お宮参りはいつごろ、どのように?

親の考え方や方針に沿ったお宮参りを

生まれた子供が初めて産土神や氏神にお参りすることをお宮参りと言います。これは江戸時代に一般化した儀式で、お産をけがれとしていたころには、忌み明けの意味も含まれていました。また、子供が正式に氏子に加わり、社会的に認知される儀式でもあったようです。

現在、とくに都会においては氏神に対する意識が低く、新興地には氏神自体が存在していません。ですから、お参りする神社は出生地や居住地の氏神でなくても、父母の信仰や考え方によって決めれば良いでしょう。 特別に信仰もなく、お宮参りに意味を感じられないのなら、親子3人で記念写真を撮ったり、お祝いの食事をするだけでいいかもしれません。

お宮参りの時期は、多くの場合、男子なら生後30日目、女子なら生後31日目ですが、地方によって異なります。しきたりにこだわるよりも、生まれて初めて外出する子供の健康状態や天候を見て、日にちを選んだほうが賢明です。また、日にちとともに、主催者である親は、どこにお参りするか、もしくは別の方法をとるか、誰に参加してもらうか、などを考え、早めに日時や祝い方などを招く人たちに知らせましょう。

神社への心づけは「御初穂料」と書く

お参りは神殿に詣でてお賽銭をあげ、参拝するだけでも問題ありません。社務所に申し出れば、お祓いを受けたり祝詞をあげてもらうこともできます。このときの心づけは、紅白蝶結びの金包に「御初穂料」と書いて現金を包んで納めます。お参りの際、父方の祖母が子供を抱くしきたりもありますが、養育責任が親にある現代では、父か母が抱くのが自然です。

子供の晴れ着は、しきたりに沿うなら男子は熨斗目の着物、女子は友禅の着物です。晴れ着の調製も父母の務め。親の好みやセンスで、新しいベビードレスなどでもかまいません。子供の衣装が礼服なら、父はダークスーツ、母もフォーマルなスーツや付け下げ、子供が普通の服なら、父母も平服を。同行者も父母に合わせるか外出着程度のものを着るようにします。

お宮参りのあとは、出産前後にお世話になった方や親しい方にごあいさつに伺います。ただし、生後間もない子供の遠出は考えもの。しきたりどおりにするより、双方の祖父母などを自宅に招いてお祝いに参加してもらったり、近くのレストランなどに席を設けるほうが良いでしょう。お祝いを贈られた場合には、このもてなしがお返しになるので、お招きできなかった方や遠方の方へはお赤飯代わりとして祝儀用食品などを贈ります。

Column

地方別・初宮参りと初誕生日祝いの風習

北海道地方

生後百日前後に初宮参りを行いますが、寒さの厳しい時期には、母子の健康上、暖かくなるまで見合わせることも。初誕生には、丈夫に育つように子供に餅を背負わせる習慣が残っている地域もあるようです。

東北地方

山形県の一部では生後51日目に初宮参りを行うなど、時期はさまざまですが、寒さに合わせ日取りをずらすことがあります。初誕生には、一升の餅を背負わせる慣習が残っています。

関東地方

初宮参りは、生後30日前後から100日前後までと、日取りはさまざま。栃木県と群馬県の一部では生後初めての6月1日に、子供が丈夫に育つよう祈願して山に登る「初山参り」という行事が盛んです。また、群馬県の一部では、初誕生に紅白の餅を背負わせます。

北陸地方

県や地域によってかなり違いがありますが、石川県では生後1か月経ったころに出産した場所か婚家の近くの神社へ、姑が子供を抱いて母親が付き添い初宮参りをします。初誕生には、たくましく育つようにと一升の餅やおはぎを布でくるんで背負わせる地域も。

甲信・東海地方

岐阜県では特別に仲人が同行して、山梨県では生後30日から50日くらいに奇数の人数が付き添って初宮参りが行われます。初誕生には履きものを贈る風習も残っています。

近畿地方

大阪府では、宮参りの前に親戚をまわり子供を背負ってもらったり、着物のひもにおひねりのようにご祝儀を結んでもらったりします。また、和歌山県の初誕生は、11か13、もしくは15の小餅を重箱に入れて贈ることがあります。

中国地方

岡山県では男児は30か32日目、女児は33日目に、名前を書いた「名づけ石」を持って荒神様へ初宮参りに。また、初誕生には祝い餅を持って氏神へお参りしたり餅を背負わせたりすることも。

四国地方

氏神に初宮参りしたあと、近所をまわって玩具やお金を産着につけてもらうのが徳島県のならわし。香川県の初誕生は「誕生餅」を背負わせ、本やそろばんなどを並べて子供に選ばせ、将来を占います。

九州地方

初宮参りのあと、福岡県では近所や親類の家へあいさつにまわり「引き飴」を配るならわしがあります。初誕生には、三升から五升の大きな鏡餅を子供に踏ませる「餅踏み」という行事も残っています。

沖縄地方

初宮参りの習慣はありませんが、生後100日目に先祖のお参りをします。また、初誕生を「たんかゆーえー」と言い、火の神や仏壇、神棚に赤飯を供えて祝ってくれた人たちを縁起ものの料理でもてなします。