贈りものをするときに気をつけたいことは?

現金を贈る場合

お祝いやお見舞いに現金を贈るのは、欧米ではあまりみられない日本独特のプレゼント方法。冠婚葬祭のフォーマルな場では必要になる習慣ですから、慶事か弔事かで金包が違ったり、用途によって水引の結び方、中包みや上包みの折り方も異なるということは常識として知っておきましょう。

また、どんな場合でも金包は包み袱紗に包んで持参するのが最低限のマナー。袱紗は日常生活の中ではあまり使わないものの、改まった席では必要なものですから一枚は用意しておくべきでしょう。慶弔どちらの場合でも使える紫色の袱紗を一つ持っておくと重宝します。 お金は贈りにくいものですが、タイミングよく、さりげなく渡すのがスマートです。お花やお菓子などを添えて、仰々しく感じさせないような心遣いをしましょう。

目上の人に贈るとき

恩師や会社の上司など目上の人には、その関係にふさわしいものを贈るのがとくに必要不可欠な条件です。そこで、ならわしとして目上の人に対してふさわしくない贈りものを覚えておきましょう。例えば「勤勉」を意味する時計や鞄、「腹を締めてかかれ」という意味のベルトなど。靴下や下駄などの履き物も「足で踏む」として失礼にあたると言われます。気にならない人もいますが、相手をよく知らない場合は避けるのが無難。

重要なのは、その品物に敬意が感じられるということです。量より質を、カジュアルなものよりフォーマル感のあるものを選び、改まった気持ちを託しましょう。とはいえ、あまり高価なものを贈って相手に気を遭わせてしまうのもマナー違反。分相応ということを考慮して、一人よがりにならない心の込もった贈りものを。

外国人に贈るとき

外国人には日本のように季節のあいさつ代わりのギフトや、儀礼的な贈答の習慣はほとんどありません。贈答が習慣づけられているのは誕生日やクリスマス、そして結婚、出産など人生の節目になるような場合です。ですから日本の贈り物感覚で贈りものをすると、疑問を抱かれることもあります。家族ぐるみでおつき合いしている外国人の知人や友人には、お中元・お歳暮というより一年の感謝としてクリスマスや誕生日にプレゼントを。品物は実用的なものを選び、もちろん渡すときはお店の包装紙のままでなく、きちんとラッピングしてリボンをかけ、カードを添えるのが外国人への贈りもののマナーです。あるいは日本の贈答体裁である折形で、水引や表書きがリボン・カードに代わるものだということを説明しても喜ばれます。

花を贈るとき

ちょっとした手みやげや誕生日のプレゼント、お見舞いなどにも花は手軽で便利な贈りものです。贈りものとしてつねに人気があるのは、花を嫌いという人が少なく、だれにでも喜ばれるからでしょう。  プレゼントの代表格はバラ。最近ではランの人気も急上昇しています。このほか、誕生日には好きな花や誕生花を贈るのも素敵です。花束や鉢植え以外にアレンジメントやボックスもありますので、TPOに合わせて選ぶといいでしょう。

とはいっても慶事に避けるべきヒガンバナや白い菊など、時と場合によっては嫌われる花があります。とくに、お見舞いの場合には花の種類によって俗説があるため注意が必要です。せっかくの贈りものが受け取る側に不快感を与えないよう、タブーとなる花は覚えておくことが大切です。

誕生花
1月 2月 3月 4月 5月 6月
スイセン
シンビジウム
フリージア
マーガレット
チューリップ
スイートピー
カスミソウ
ミヤコワスレ
スズラン
カーネーション
バラ
グラジオラス
7月 8月 9月 10月 11月 12月
トルコキキョウ
ユリ
アンスリウム
ヒマワリ
リンドウ
クジャクソウ
コスモス
ガーベラ
キク
ブバリア
カトレア
ストレリチア
Column

相手によって避けたい贈りもの

贈りものは、より良い人間関係を築くためのコミュニケーションアイテムの一つ。贈る側と受け取る側との間に心の交流があってこそ、その意味があるというものです。マナーやエチケットに反するようなことがなければ必要以上に形式や風潮に左右されることはありません。いちばん大切なのは、伝えたい気持ちに適確なもので、なおかつ相手にも喜んでもらえるものを選んで贈るということでしょう。

ただ注意しておきたいのは、昔から言い伝えられていることわざや語呂合わせなどによって、せっかく心を込めて選んだ品物も、贈りものとして不適切になってしまうときがあるということです。よく言われるのは、病人のお見舞いに鉢植えというケース。これは「寝つく」を連想させるので避けるのがマナーとされています。また、ネクタイやネックレスは「首ったけ」という意思表示といわれ、恋人や身内以外の人に贈ると非常識と思われてしまうこともあります。同様に、家族以外の異性に下着やパジャマなど直接身につける品を贈るのは避けるのが常識でしょう。

このように相手との関係や状況にケースバイケースで対応し、きちんとマナーをわきまえた品選びをすることも、贈りものに心を込める配慮のポイントとして心得ておきましょう。

なお、地方の名産品の中でも賞味期間が短いものなどは、手みやげとして適していないので注意を。

ラッピングでセンスアップするには?

包装紙やりボンはギフトに合わせて

日本の贈答体裁である折形に対して、欧米でも同様の心を表す習慣があります。それがラッピング。パーソナルギフトを贈る場合には、包装紙やりボンの色柄、素材を駆使し、自由に包装してみてはいかがでしょう。ただし、贈る目的や内容、贈り主と受け取る側の関係に合わせて、それ相応の色や包み方、リボンを使うのは日本の贈答体裁と同じ。祝いごとや慶びごとには明るく楽しい色柄の紙を、悲しみのギフトには落ち着いて心安らぐ色を使うといったひと工夫は、贈りものに込めた心をより一層明確に伝えてくれるはずです。

包み方は、折形のように難しい決まりはないものの、包装紙が柄物で上下がある場合には品物の向きと合わせるのは当然のこと。日本人同士の贈りものには、折形同様に紙の合わせは右前にしたほうが無難です。あとはセンスを生かして自由にラッピングすれば、贈る相手にも喜ばれるでしょう。

またラッピングした贈りものの場合、表書きに代わるのがカードです。

宛て名と贈り主の名を記し、贈る気持ちの言葉を添えてリボンにはさんで贈るのがマナーです。

グリーティングカードの素敵な使い方は?

感謝の気持ちをメッセージに託して

外国ではポストカードやグリーティングカードが上手に活用されており、またその頻度もひじょうに高いようです。最近は、日本でもそうしたカードの専門店が増えていますから、贈りものをするときにグリーティングカードにちょっとしたメッセージを添えて渡すのもしゃれた方法ではないでしょうか。

カードは電話などとは違ってあとに残るものです。それだけに書き方のマナーや心遣い、センスが問われます。

親しい間柄だからといって、ぶしつけな表現はタブー。メッセージは伝えたいことを端的にまとめ、感謝の気持 ちが込もった内容にしましょう。たとえば、手づくりの食べものを贈るならその調理法や、どこかのおみやげであれば、そのエピソードなどを簡単に書き添えておくのも一つ。そうしたメーセージが添えられているだけで、もらったときの気分や印象がずいぶん変わるものです。

ただし、目上の方に贈る場合、原則として縦書きにすること。簡単な案内状や賀状、暑中見舞いなど以外は、封書でないと失礼にあたることがあるので注意したいものです。一筆箋や絵はがきを白い封筒に入れてもいいでしょう。