婚礼
「婚」とは婚礼のこと。
結婚に至るまでのステップは、
当事者も招待者も知っておくべきマナーが
たくさんあります。
ニ人だけになったら?
女性を送るのは最寄り駅まで
話がひとしきりはずんだところで、紹介者や付き添い人が当人たちだけにしようと言ったら、素直に従いましょう。初対面からだいぶ時間も経ち、多少とも気ごころも知れてきたのですから、今度は二人だけで話し合う機会をもつべきです。
二人だけになったら、肩の力を抜いて話をしてみましょう。それまでとは違った相手の一面を見ることができるかもしれません。相手方の条件の確認と同時に、相手に承知しておいてもらいたいことなども、この機会を利用して率直に述べます。また、書類上でわからなかった点についても聞いてみましょう。
二人だけの会話には場所も大切な要素です。ゆっくり話のできる公園や喫茶店を選び、女性の帰り道に近いところがいいでしょう。二人が意気投合しても、その日は一、二時間で別れるようにします。女性を送る場合は、最寄りの駅まで。自宅まで送るのは先のことにします。
見合いの費用はどうする?
当事者双方で折半が原則
男性が選び、女性が選ばれる時代なら男性が飲食代などを負担してもかまいませんが、今はそんな時代ではありません。お互い自主的な意思で会ったのですから、紹介者のぶんも含め、費用は当事者双方で折半にします。
見合いのあと、レジの前で二人がお金を出し合うのがおかしいと思うなら、どちらかが立て替えておくなり、その場では紹介者に支払ってもらい、あとで清算する方法をとってもかまいません。あるいは事前に、紹介者にお金を預けておいてもいいでしょう。その際には、前もって紹介者を通して予算を立てておき、その見積もりぶんより多めの額を半額ずつ負担します。
また、当事者同士二人だけで会う場合、見合いのあと二人で食事などするときも同様で、結論を出すまでは、それぞれが負担するという原則に従いましょう。そのほうが、あとで断るときに余計な気を遣わずにすむというものです。紹介者の自宅でお見合いをするときは、双方それぞれに手みやげを持参し、後日お礼に伺う折に当日の手間を含めるようにします。
どのような結論になるにしても、後日紹介者へお礼に伺うことは忘れないことです。
紹介者への報告とお礼は?
帰宅したらとりあえず報告とお礼を
見合いが終わって帰宅したら、本人が紹介者に電話をしてお礼を述べ、あわせて二人になってからのことを報告します。
結論を出すまで、ある程度じっくり考える時間が必要ですから、返事は後日改めてということにしてかまいません。たとえ、その日のうちに相手を気に入ったとしても、あるいは、逆にどうしても好意がもてなかったとしても、そのことには触れないで、紹介者の労に感謝を述べるだけにしておきます。
後日、結論が出たら本人が紹介者をたずね、報告とお礼を述べます。断るときは、預かっている書類を返し、率直に理由を述べて丁重にお断りします。そのとき、菓子折程度を持参して、お世話いただいた労に感謝の気持ちを伝えると同時に、立て替えてもらった費用などがあれば清算します。
交際を望む場合は、書類は預かったままでかまいません。返事も電話で伝えるだけでいいでしょう。ただし、立て替えてもらった費用は早めに清算することです。
帰宅婚約まで進んだときは二人そろってお礼に伺う
さらに話が進んで婚約まで到達した場合は、正式なかたちで紹介者に報告し、お礼のあいさつをしなければなりません。そのときは、二人そろってあいさつに行くのは当然です。
お礼としては、紹介者の労に見合ったものにすべきで、書類の受け渡しと見合い当日の紹介をお願いしただけの場合と、婚約に至るまでに何度も足を運んでもらったり、あれこれ相談に乗ってもらったりした場合とではおのずから異なります。また、本人や家族と親しい間柄で、好意と信頼によって成り立っている関係と、たまたま縁談のために知り合った義理的間柄の場合とでも異なります。後者は金銭的に割り切ってもいいでしょうが、前者の場合は、好意をもってお互いが力になり合うという関係を末長くつづけることのほうが礼にかなうともいえます。
こうした心や労力のかけ方を金額で決めるのはむずかしく、まして結納金を基準にするのもおかしなものです。常識的には男女双方合わせて、ニ,三万円から五万円程度が、受け取る側としても納得できるところでしょう。紹介者が親しい間柄なら、商品券やギフトカード、あるいは品物にすればいいのですが、義理的間柄の方には現金のほうがいいでしょう。男女で折半して一包にして贈ります。表書きには「御礼」と書きます。また、結納など正式婚約や結婚式の仲人までつづけてお世話を願う場合は、それらが終わった時点でそのぶんも含めてお礼をすればいいのです。