婚礼
「婚」とは婚礼のこと。
結婚に至るまでのステップは、
当事者も招待者も知っておくべきマナーが
たくさんあります。
当日、挙式開始までにしておくことは?
花嫁は二時間前には式場入りを
新婦は約二時間前までに、新郎は一時間前には式場に着くように余裕を持って家を出るようにします。
朝起きたら、さっとシャワーを浴び、朝食はしっかりいただきます。披露宴では、衣装が窮屈だったり緊張したりで何も食べられないこともありますし、おなかがすくと気分が悪くなることもありますから、朝食はきちんといただくこと。ただし、水分はひかえめに。また、一ロ大のおにぎりやサンドイッチ、チョコレートなど、控室でつまめるようなものを持参するとよいでしょう。
新婦は式場に着いたらすぐ美容室に入るので、お化粧は薄めにしておきます。身支度を整えたら、家を出る前に家族に感謝のあいさつをしましょう。そしてもう一度持っていくもののチェックを。
新婚旅行にそのまま出かける人は、海外旅行の場合なら空港までスーツケースを運んでくれる手荷物宅配サービスに前もって頼んでおくと便利です。貴重品を入れた機内持ち込み用バッグは手もとにおき、式場に着いたらフロントなどに預けます。
また新婦は、着付け中は用事があっても動けないので、母か姉妹、親しい友人に付き添ってもらうと安心です。
控室での心得は?
媒酌人、親戚にあいさつを
着付けが終わり、身支度が整えば、新郎新婦はそれぞれの控室に入り、式が始まるのを待ちます。
媒酌人夫妻にはお礼とともに、「本日はどうぞよろしくお願いします」と改めてあいさつをします。式に参列してくれる親族にも「お忙しい中、ありがとうございます」とお礼を述べましょう。
祝電の整理も忘れずに
式の進行について係から説明があるので、わからない点は確認しておくこと。披露宴の列席者に変更がないかなどの確認もしておきましょう。また、祝電に目を通しておきます。披露宴の中で紹介してもらいたいものを選び、その順序を決めて司会者に渡します。発信人の肩書、自分たちとの関係をメモしておくとよいでしょう。
祝福は座ったまま受けてもOK
控室では、新郎新婦はあまり動かないようにし、用事は周囲の人に代行してもらいます。新婦は祝福のあいさつを座ったまま受けてもかまいません。目線をやや下に向け、おじぎをするときは腰から上半身を軽く前に倒し、首だけが曲がらないようにします。なお、洋装ならブーケを、和装なら扇子を手にすることを忘れずに。
神前結婚式の場合は?
もっともポピュラーな神前結婚式
現在もっとも多く行われている結婚式は、神前結婚式です。この歴史は浅く、明治三十三年に大正天皇の御成婚の儀をきっかけに、神社での挙式が考案されました。以来、神前結婚式が増え、第二次大戦後はほとんどがこの形式になりました。
神前結婚式は、神の前で三三九度の杯を取り交わし、結婚の誓いをするもので、本来は神社の神殿で行われるものです。最近はホテルや結婚式場など、披露宴を扱う会場に神前結婚式の設備があり、そこで挙式する人がほとんどです。
神前式の参列者は親族まで
挙式の進め方は神社や式場によって多少異なりますが、係員から説明がありますから、指示に従っていれば大丈夫です。指輪交換をする場合は前もって申し出、係員に指輪を渡すか媒酌人夫妻に預けます。
神前式の参列者は親族が一般的で、人数は三十~四十人くらいです。定員以上の人が参列する場合は立ってもらうことになります。
神殿に上がるときは、全員が身を清めるために手を洗い、口をすすぐ「手水の儀」を行うのが本来のしきたりです。近年ではほとんどの式場で省略されていますが神社での挙式の場合は行います。
写真やビデオ撮影は事前に確認を
挙式の最中に子供が泣いたりしたときは、連れて退場するのがマナーです。写真やビデオ撮影などは、禁止している式場もあるので事前に確認しておきましょう。
神前結婚式では玉串を捧げる
1)入場
係員の誘導に従って入場します。新郎新婦を先頭に、新郎のうしろに媒酌人、新婦のうしろに媒酌人婦人が付き添います。続いて双方の父、母、きょうだい、祖父母、伯父伯母、叔父叔母というように関係の深い順に、また同じ関係なら年齢順に並んで入場するのが一般的です。
式場内では、神前に向かって右が新郎側、左が新婦側の席で、互いに向き合う形になります。神前に近いほど上席ですから、父母が一番の上座に位置し、関係の深い順に下手に向けて並びます。本来は、新郎新婦、媒酌人夫妻とも上座で向き合う形で着席し、玉串奉奠をしたあとで下手の親族杯の席に移りますが、ホテルや結婚式専門の会場などの仮設式場では、新郎新婦、媒酌人夫妻とも神前に向かって並んで着席する形がほとんどです。この場合は途中で移動せず、最後まで同じ席にいます。
2)斎主以下斎員着席
司式の斎主と斎員が入場し、着席します。
3)修祓
開式が告げられ、斎主が修祓(おはらい)をして一同を清めます。一同は起立して深くおじぎをしたのち、軽く頭を下げておはらいを受けます。
4)斎主一拝
神前に斎主が深く一拝するのに合わせ、一同も起立して一拝します。
5)献饌
食物、酒、水、稲などを神に供える儀式です。ふつうはあらかじめ供えてあり、また、器のロを開くを開くといった動作で象徴するにとどめる場合もあります。
6)祝詞奏上
斎主が神に二人の結婚を報告し、祝詞を読み上げます。その間、一同も起立して頭を下げています。
神前結婚式式次第(例)
- 1.参列者入場、着席
- 2.斎主以下斎員着席
- 3.修祓(おはらい)
- 4.斎主一拝
- 5.献饌
- 6.祝詞奏上
- 7.三献の儀(三三九度の杯)
- 8.新郎新婦の誓詞奏上
- 9.指輪交換
- 10.玉串奉奠(新郎新婦・媒酌人夫妻・親族代表)
- 11.親族杯の儀
- 12.斎主一拝
- 13.退場
玉串の捧げ方
1.右手で上から茎を左手で葉先を下からそっと持つ
2.玉串案の前まで進んで軽く一礼し、葉先を前に向ける
3.右手を上に、左手を下のほうに移し・・・
4.その手のまま、葉先が手前にくるように右に回し・・・
5.左手を右手の位置まで戻して玉串案に供える
7)三献の儀
三三九度の杯のことで、夫婦のちぎりを結ぶ杯事です。
巫女が大、中、小の三つの杯を重ねて三方にのせて、新郎新婦の前に持ってきます。酌女は、一、二とつぐまねをし、三度目でつぎます。飲むほうも二度□をつけ、三度目で飲み干すのが作法。これを新郎新婦で交互に三度ずつ繰り返します。杯は、左右の手で四指をそろえて持つこと。お酒を飲めないときは、飲むまねだけでもいいでしょう。
8)誓詞奏上
新郎新婦は神前に進み出て、結婚の誓いを述べます。誓詞は式場に用意されたものもありますが、もちろん自分たちの言葉にしてかまいません。一般的には新郎が読み上げ、新婦が自分の名前をつけ加えます。読み終えた誓詞は、左から巻き玉串案上に置きます。
9)結婚指輪交換
本来、神前結婚式にはないものですが、申し出れば盛り込んでもらえます。新郎新婦は神前で向かい合い、まず、新郎から先に新婦の左手くすり指に結婚指輪をはめ、続いて新婦が新郎のくすり指にはめます。
10)玉串奉奠
半紙で作った四手を榊につけた玉串を神に供える儀式です。斎主から渡された玉串を持って神前に進み、玉串の向きを変えてから案に供えます。続いて一歩下がり、二拝、二拍手、一拝をして、二人が向き合う形に回って自席に戻ります。まず新郎新婦が行い、ついで媒酌人夫妻、双方の親族代表と続きます。親族代表の奉奠拝礼に合わせ、列席者も自席で拝礼します。
11)親族杯の儀
親族のちぎりを固める杯です。一同の杯に神酒がつがれたら、起立して三回に分けて飲み干します。
12)退場
再び斎主が祝詞を述べたあと、一同起立して神前に拝礼します。退場は、斎主、斎員、一同の順に。また、親族の紹介を退場の前に行うところもあります。