入院中・療養中にお見舞いをくださった方には、お見舞いのお返しを贈ります。
しかし、「退院はしたものの、リハビリ中ですぐに職場復帰ができない…」「退院はしたものの、完治するのか分からない病気で…」という場合のお見舞い返しに困ってしまうことがあります。祝い事でもなく、まだ完治していない状態でどうお礼をしたらいいのか、誰に相談したらいいのか悩んでしまうのも本音ではないでしょうか。
この記事では、そんなお見舞いのお返しについて悩んでいる方のために、基本的なマナーについて詳しく解説します。お見舞いのお返しにふさわしい品物、のしの選び方、贈る際に添えるお礼状の例文についても紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
お見舞いのお返しとは?
入院中や治療中にお見舞いに来ていただいた方へ、感謝の気持ちを込めたお礼の品物を贈るのがお見舞いのお返しです。
「病気や怪我が治った」という報告の意味が込められた「快気祝い」や「快気内祝い」「全快祝い」などとも呼ばれます。
回復の経過によって、それぞれ違いがあります。
お見舞いのお返しの種類
お見舞いのお返しの種類はいくつかありますが、非常に似通った言葉のため、違いがわからないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
それぞれの言葉の大きな違いは、お見舞いのお返しを贈る側の回復度合いによります。
お見舞いのお返しの種類によって、品物につけるのしの表書きも異なるため、ここで確認しておきましょう。
快気祝い・全快祝い
「快気祝い」と「全快祝い」はほぼ同様の意味で、文字通り、「病や怪我が完治した場合」に全快の報告を兼ねて贈るお見舞いのお返しです。
今後の通院が不要な場合に「すっかり良くなりました」という報告とお見舞いのお礼として贈ります。
快気内祝い
「快気内祝い」は、「退院はしたものの全快とまで言い難く、通院や自宅療養を続ける場合」に贈るお見舞いのお返しです。
病気や怪我が完治した場合に贈る「快気祝い」とは、その点が異なります。贈る際は、参考にしてみてください。
御見舞御礼
「御見舞御礼」は、お見舞いをいただいたけれどまだしばらく退院できそうにない場合や「退院したものの、療養や通院を続ける場合」に贈るお見舞いのお返しです。後者の場合は「快気内祝い」と同等の意味といっていいでしょう。
退院内祝い
御見舞御礼と同様に、退院はしたもののまだ療養が必要な場合に贈るお見舞いのお返しです。一般的に御見舞御礼を使用するケースが多いですが、退院内祝いとして用いる場合があります。
お見舞いのお返しの金額・相場は?
お見舞いのお返しの金額・相場は、お見舞い時にいただいた額の半額(半返し)から三分の一程度が一般的です。いただいた品よりも明らかに高価な品物を贈ることやお金や金券を贈ること、さらには意図せずいただいたものと同じ品物を贈ることなど、相手に対して失礼にあたる行為は避けましょう。
高額なお見舞い金を頂いた場合は?
身内や親しい友人など、まれに高額なお見舞金をいただくケースがあります。高額なお見舞い金をいただいた場合も、半額(半返し)から三分の一程度のお返しでも失礼にはあたりません。
しかし、高額なお見舞い金には「できる限りの力添えをしたい」気持ちが込められているため、いただいた額の四分の一程度でも失礼ではないとされています。
お見舞いのお返しは誰に・いつ贈る?
お見舞いのお返しは退院後1週間から1ヶ月程度を目安に、無理せず体調が落ち着いた後にお贈りするのがよいでしょう。
お見舞いのお返しは本来、喜びや感謝を伝えるためのものです。病気が完治していない場合は、退院したからといって、必ずしもすぐに贈る必要はありません。ご自身の体調と相談しながら準備しましょう。
長患いでなかなかお見舞いのお返しができなくて申し訳ないと感じる場合は、折を見て経過報告の手紙やはがきなどを贈るとよいでしょう。無理して入院中にお返しを贈ってしまうと、かえって気を使わせてしまうかもしれません。
病院関係者へのお礼
入院中にお世話になった医師や看護師など、病院関係者へのお礼は原則不要です。患者からの贈り物を受け取ってはいけないという規則がある病院が多く、受け取ってもらえない可能性があります。
どうしてもお礼を伝えたい病院関係者がいる場合は、贈り物ではなく感謝の言葉を直接お伝えするとよいでしょう。
お見舞いのお返しに適した品物とは?
お見舞いのお返しには、「病気が後に残らないように…」という気持ちを込めて、「あとに残らない品物」「消費できる品物」を贈るのが一般的です。
お見舞いのお返しは、下記のような意味を込めて品物を選ぶことが多いです。
・病気を洗い流す:洗剤や入浴剤
・病や怪我を食べてしまう:食べ物
・今 治りました:今治タオル
お見舞いのお返しの定番といえば食べ物や洗剤などですが、最近は「今治タオル」が「いま、なおる」と読める事から、縁起が良いとお見舞いのお返しや快気祝いで人気です。
何を贈るか悩む場合には好きな品物をご自身で選べるカタログギフトがおすすめです。
お見舞いのお返しは「消え物」が基本
お見舞いのお返しの定番といえば、消え物。消え物といっても、さまざまな種類がありますが、お見舞いのお返しで人気なのは、下記の品物です。
・入浴剤
・今治タオル
・チョコレートなどの洋菓子
・石鹸
・カタログギフト
入浴剤やタオルは「病を洗い流す」意味が込められているため、昔からお見舞いのお返しの品物として人気です。また、チョコレートや石鹸は「病が溶けてなくなる」とされ、お見舞いのお返しとしてふさわしいといわれています。
お見舞いのお返しには実用的な贈り物がよく選ばれていますが、お相手に好きな品物を選んでもらうカタログギフトも人気です。カタログギフトであれば、洋菓子や和菓子、日用品はもちろん、贅沢グルメなど、多彩な商品の中から好きなものを選んでもらいやすいでしょう。
関係性で選ぶお見舞いのお返し
お見舞いのお返しに適した品物は、関係性によっても異なります。品物選びに悩んだら、以下の例も参考にしてみてください。
家族や親族へのお見舞いのお返し
家族や親族へのお見舞いのお返しは、不要とされることが多いです。とはいえ、退院の挨拶と共に、ちょっとしたお礼の品物を贈ると喜んでもらえるでしょう。普段から付き合いの深い家族や親族であれば、少し高級な洋菓子が喜ばれるかもしれません。
家族構成や相手の好みに合わせて、和菓子やジュースを贈るのもおすすめです。
上司や目上の方へのお見舞いのお返し
上司や目上の方へお見舞いのお返しを贈る際は、上質なタオルや贅沢グルメなど、品の感じられる品物がおすすめです。お相手の好みがわからない場合は、カタログギフトを贈ってもよいでしょう。
友人へのお見舞いのお返し
友人へのお見舞いのお返しは、人気のブランドお菓子や、おしゃれなタオルなどがおすすめです。日常のなかで消費しやすいお菓子やタオルであれば、気軽に受け取ってもらえるでしょう。
職場の方、ご近所の方へのお見舞いのお返し
職場の同僚や関係者の方からお見舞いをいただいた際は、小分けで配りやすいお菓子やジュースのお返しがおすすめです。また、ご近所の方からお見舞いをいただいた場合は、定番のお菓子や洗剤など実用的な品物が喜ばれるでしょう。
お見舞いのお返しでだめなもの・贈ってはいけない品物は?
お見舞いのお返しでは、「病気に関する縁起の悪いもの」など、贈るのを避けた方が良いとされているものがあります。一般的に「縁が切れる」ことを連想するハサミや包丁、「お葬式」を連想させる白いハンカチは、お返しの品としてふさわしくありません。
ここからは、お見舞いのお返しで贈ってはいけないだめな品物を、3つ紹介します。
シーツ、パジャマなどの寝具
「二度と病を繰り返さない」という意味を込めて贈るため、病院を連想させるシーツやパジャマなどはタブーとされています。
観葉植物・鉢植えの花
鉢植えの植物は「土に根付く」ことから「寝付く」を連想させ、避けた方が良い品目のひとつです。
現金・商品券
お見舞いは現金でいただくことが多いですが、そのお返しに現金や商品券などの金券を贈るのは金額が分かってしまうことから、目上の方に贈る際は失礼にあたる場合もありますので注意しましょう。
お見舞いのお返しを贈る時のマナー
お見舞いのお返しを贈る際は、のし(熨斗)紙をつけるのがマナーです。のし紙には、回復の経過に合わせた表書きを入れます。お見舞いのお返しには、のしをつけるのが一般的ですが、まだ退院していない場合は「右上にのしがついていない掛け紙」を使用することもあります。
ここからはお見舞いのお返しを贈るときののしと、品物に添えるお礼状について確認していきましょう。
お見舞いのお返しの水引・のし(熨斗)の書き方
お見舞いのお返しでは、「病気が二度と起こらないように」という思いを込め、水引きは「紅白5本結び切り」を使用します。
表書きに入れる文言は、退院後の経過によって異なります。病気や怪我が完治した場合は「快気祝」と記載します。退院しても療養中、もしくは通院しなければならない状態なら「御見舞御礼」か「退院内祝」と入れると良いでしょう。
また、快気内祝や退院内祝など、表書きが四文字となると縁起が悪いと気にされる方もいます。そのまま書いても間違いではありませんが、気になるようであれば「快気之内祝」や「退院之内祝」としたほうがよいでしょう。
また、のし紙の掛け方は、お相手にどう渡すかで内のしと外のしを使い分けても問題ありません。
家族や友人、職場の方など、直接手渡しする場合は、表書きがわかりやすい外のしがおすすめです。外のしは品物を包装した後、上からのし紙を掛けます。
快気内祝いなど、まだ完治していない状態でお見舞いのお返しを贈る場合は、内のしにするとよいでしょう。内のしは品物にのし紙を掛け、その上から包装をするため、表書きを控えめに表現できます。また、配送する際も、内のしであれば、のし紙が破れる可能性が低くなります。
お見舞いのお返しにお礼の言葉を伝える方法
お見舞いのお返しにお礼の品物を贈る際は、手紙やメッセージカードなどお礼状を添えるとより感謝の気持ちが伝わりやすくなります。特に何度もお見舞いに足を運んでくださった方や、遠方で直接お礼を伝えられない方には、一言添えておくのがおすすめです。
お見舞いのお返しに添えるお礼状の内容は、お見舞いへのお礼や気遣いへのお詫びと共にお返しの品物を贈る旨記載するのが一般的です。また、お相手への健康を気遣う一文も添えておくとより丁寧さが伝わります。
一般的なお見舞いのお返しに使えるお礼状の例文は、以下の通りです。
【お見舞いのお返しに添えるお礼状の例文】
初秋の空も爽やかな季節、○○様におかれましては、つつがなくお過ごしの様子、何よりかと存じます。
このたびは大変なご迷惑をおかけしましたが、おかげさまで○月○日に無事退院いたしました。
お忙しい中お見舞いくださり、誠にありがとうございました。
ささやかですが、心ばかりの品をお贈りいたします。
お受け取りいただけますと幸いです。
○○様も今後一段と健康で過ごされますよう、心から祈念しております。
末筆ではございますが、退院のお知らせかたがた 書中をもって御礼申し上げます。
敬具
また、職場の方へのお礼状には、復帰後にあらためてご挨拶に伺う旨、記載しておくと安心してもらいやすいでしょう。
入院中に亡くなった場合はどうする?
お見舞いのお返しを贈る前に亡くなってしまった場合は、一般的にお見舞いのお返しを贈らなくても問題はありません。しかし、お見舞いをくださった方でしたら、葬儀に弔問してくださる場合が多いです。その場合は、香典と頂いたお見舞いのお礼を兼ねて、「香典返し」としてお渡しするのが一般的です。また、香典返しとお見舞返しをそれぞれ用意する贈り方もあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。