「粗供養(そくよう)」とは、どのような意味なのか気になっていませんか?
「香典返しや満中陰志との違いは?」「渡す品物やふさわしくない品物は何か?」など、分からないことが多いと戸惑いますよね。本記事では、粗供養の意味や渡す品物、金額相場など、粗供養の準備にあたって注意すべき基本的マナーを解説します。粗供養について調べている方は、ぜひ参考にしてください。
粗供養とは
「粗供養(そくよう)」とは、法事や法要に出席してくれた方々やお香典、ご供養、お花などをくださった方に贈るささやかなお礼です。いわゆる香典返しのことです。「粗供養」というと、関東の人にとっては耳慣れないものかもしれません。関西では「粗供養」、関東では「志」と呼ばれることが多いようです。
粗供養は一般的に施主から贈られますが、地方によっては施主の他の親族が贈ることもあり、まずその土地のルールをしっかりと調べなければいけません。いずれにせよ「粗」「志」という言葉が使われているからといって、本当に気持ちばかりの粗品でいいというわけではない点にも注意しましょう。昔ながらのやり方を守って忌明けに香典返しをする場合には「満中陰志」と呼ばれることもあります。
粗供養の品物
粗供養は不祝儀の贈り物なので、消えてなくなるものを贈るのが一般的です。
お茶と海苔のセットを粗供養としてもらったことがある方も多いのではないでしょうか。「食べてなくなるもの」ならば不祝儀のルールにのっとっているといえるでしょう。しかしながら絶対にお茶と海苔のセットを選ばなければならないという訳ではありません。
粗供養におすすめの品物
粗供養品は後に残らない「消えもの」がふさわしいとされています。どこまでを「消えもの」とするか、明確な基準はありませんが、タオルなどの消耗品も、使い込めばいずれは捨ててしま うので「消えもの」に入るでしょう。
贈る人にも喜ばれるおすすめの粗供養品は、次の6つです。
粗供養品を選ぶ際は、消えものかつ季節に合わせるとよいでしょう。食品を贈る場合は、常温保存ができて、ある程度賞味期限が長いものが喜ばれます。また、夏であれば素麺、冬であれば入浴剤など、すぐに食べられる、使えるものを選んでみてください。
どんな粗供養品を選べばいいか迷ったときは、近年人気の「カタログギフト」もおすすめです。カタログギフトであれば、年齢や性別を問わず好きなものを選んでもらえるため、幅広い年代の方が葬儀や法要に参列してくださった場合も安心です。ただし、カタログギフトを粗供養品として贈る場合は、3,000円以上のカタログギフトでないと選択肢が狭くなってしまうので注意しましょう。
粗供養でタブーな品物
基本的に昆布やお酒など慶事に贈る品物以外なら、粗供養品として何を贈っても良いとされています。たとえば、お菓子、紅茶、コーヒーなどであれば、消えものかつ消費しやすいため、 お渡しする際も手間にならないでしょう。粗供養は仏教のしきたりではありますが、贈る品物が和風である必要はありません。
ただし、消えものの中でも、下記の品物は粗供養品としてタブーとされています。
・肉・魚など殺生を連想させるもの
・お酒・昆布・かつお節など慶事を連想するもの
・商品券などの金品
仏教は殺生を禁じていたことから、肉や魚など殺生を連想させる生ものは粗供養品としてタブーとされています。「喜ぶ」を連想させる昆布やお酒、かつお節などの慶事で使用する品物も粗供養品として向いていません。
また、商品券などお返しした金額が明確になる金品も粗供養品としてはふさわしくないため、避けましょう。
粗供養の相場
粗供養は一般的に香典の3分の1から半額程度の、いわゆる「半返し」が適切とされています。
香典の相場は5,000円~10,000円といわれているので、2,500円~5,000円程度の品物を用意するというのが一般的です。ただし、地方によっては文字通り、参列してくれたことに対するお礼の粗品として、500円~1,000円程度の品物が用意されることもあります。地域によっては何よりも気軽に持ち帰れることを優先する場合もあるのです。
また、身内からもらった高額の香典に関しては必ずしも半返しにする必要はありません。他の参列者と同じ粗供養でも失礼に当たることはないのです。半返し以下になってしまったとしても失礼にあたることはありません。3万円が半返しの上限と考えて間違いないでしょう。ただし、身内ではない方から思わぬ金額の香典をもらった時は、用意した粗供養だけではお返しが足りないということもあります。後日、他の品物を送ることを忘れないようにしましょう。
粗供養を渡すタイミング
本来ならば葬儀の香典返しは四十九日後の忌明けに行われていましたが、参列者全員に間違いなく渡し、送料の手間とコストを省略するためにも、最近では当日手渡しが一般的です。
粗供養を当日手渡しするタイミングとして、たとえば葬儀ならば2パターンが考えられます。参列者が受付をすませた時にすぐに渡してしまうか、最初はチケットだけを渡して帰り際に粗供養と交換するという方法があるのです。受付ですぐに渡してしまう時にはよりリーズナブルで持ち帰りやすい粗供養が、式の後に渡す時にはやや高額なものが選択されています。とくに関西では前者の方式が選択されることがほとんどとのことです。また、四十九日、一周忌、三回忌などの初盆の法要はお寺、ホール、自宅などどの場所で催されるにせよ、帰り際に渡されることがほとんどです。
当日来られずに香典、供物、お花などを送ってくれた方に対しては、後日、宅配便等で手配するようにしましょう。
粗供養を用意するタイミング
初盆はお盆やお中元のシーズンと重なるので、できるだけ早く準備するといいでしょう。夏場なのでそうめんが人気ですが、ゼリーなどのお菓子にする方も少なくありません。 また、四十九日、一周忌、三回忌などもあらかじめ日取りが決まっているわけですから、直前にあわてないようにゆとりを持って準備するようにしましょう。どの商品にするかはじっくり選んで、最終的な必要数は直前まで待ってくれる業者ならば理想的です。一週間前まで対応してくれる業者も少なくありませんが、足りなくなるよりは余った方がまだいいので、多めに注文するようにしましょう。
どんなギフト会社でも、最低一週間あれば十分に準備を整えてくれるものです。遅くとも前日までに、自宅もしくは法事を行う会場まで届けてもらうようにしましょう。届いたらすぐにチェックをして、不足や不備があればすぐに取り替えてもらうようにしてください。
お礼状を添える
粗供養を後日配送するときはお礼状を添えるのがマナーです。直接訪問して渡す場合などは、お礼状は不要です。
添える挨拶状には「句読点を使用しない」「季節の挨拶は用いない」「重ね言葉は避ける」といったマナーがあるので注意しましょう。 慣れない文章作成に苦労しそうであれば、挨拶状を準備してくれるギフトショップやデパートを利用するのがおすすめです。手間をかけずにマナーを遵守した挨拶状を添えられます。
粗供養にのしは必要?
粗供養には、必ずのしをかけなくてはいけません。のしとはあわびを薄くのばした「のしあわび」の略で、慶事の時に水引とともに掛け紙に添える縁起物です。掛け紙の右上に印刷されている赤と紫のマークを誰でも一度は目にしたことがあるでしょう。粗供養ではこのマークが印刷されていないものを使用します。のしと呼んではいますが、正確には掛け紙に水引だけを結んだものといえるでしょう。
粗供養ののしには掛け紙、表書き、水引などに約束事があるので必ず守るようにしましょう。
のしの種類
のしを包装紙の内側にかける方法(内のし)と外側(外のし)にする方法の2種類があります。お祝い事ではないので、より控えめに内側にするのが適しているといわれていますが、外側にしたとしても失礼に当たるということはありません。とくに、葬儀や法要の際に直接手渡しする際には、外側に付けるのが一般的となっています。商品を配送する場合は、掛け紙が傷ついたり・汚れたりしないように内のしにする方が良いでしょう。
表書きの書き方
水引の上の表書きには、関西では「粗供養」、関東では「志」と書くのが一般的です。仏教系ではない葬儀や法要の際には「侘び草」と記入されることもあります。四十九日の法要の時には、喪が明けるという意味の「満中陰志」、初盆には「初盆志」、三回忌には「三回忌志」とするなど、タイミングによって変わることもあります。また、いずれの場合にも、水引の下には施主の苗字やフルネームまたは○○家と必ず書くようにしましょう。
表書きも名前も、黒い墨を使い毛筆か筆ペンでしたためるのが常識です。不祝儀なので薄墨を使ってもかまいません。
水引きの種類
使用する水引にもルールがあり、関東では黒白、関西や北陸では黒白または黄白が使用されます。いずれも「一度だけのことであって欲しい」という意味を込めて、結び切りを用いるというのが共通ルールです。
辞退への対応
以上のように細心の注意を払って品物を用意しても、粗供養を辞退する方も稀にいます。このような場合にはご厚意を無駄にすることのないよう、無理にお渡しすることや送りつけるようなことはしないようにしましょう。とくに公的な職に就いている方は、法的に香典返しを受け取ることを禁止されている場合もあるので注意が必要です。ただし、落ち着いてから必ずお礼状を送ることをおすすめします。とくに高額の香典をいただいた場合には、お中元やお歳暮などの別の機会に贈り物を届けて、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
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