葬儀・告別式で故人にお供えいただいたご厚志に対してお返しをする香典返し。香典返しには地域ごとに贈る時期や相場に違いがあります。また香典返しをしないケースもあるため、戸惑うことも多いでしょう。ここでは香典返しをしないケースや地域差についてご紹介します。
香典返しをしないケースやマナーとは?
葬儀に際して、香典や供物をお断りすることを明示した場合は、お返しの必要はありません。あるいは一家の働き手を亡くしてその子どもが小さい場合などは、経済的な問題もありますから、お返しを省略してもよいでしょう。また、いただいた香典を故人ゆかりの事業や社会福祉施設などに寄付をして、香典返しをしないケースもあります。 ほかにも次のような場合には、香典返しをしなくても失礼にあたりません。
- ・弔電のみを頂いた場合や、お悔やみの手紙のみをいただいた場合。
- ・故人の意志や遺族の意志により、香典返しをする代わりに寄付をした場合。この場合は、会葬礼状に寄付したことをお伝えします。
- ・香典返しを辞退された場合。※この場合もご挨拶状・お礼状は送付します。
- ・当日返しで引き出物をお渡しした場合。
香典返しをしない場合も、忌明け法要後に法要が執り行われたこと、お礼をお伝えするためにご挨拶状・お礼状はお送りします。香典返しをしない場合は遺児の養育費にあてる、寄付に代えるなど、それぞれの使途を報告するのがマナーです。また寄付に代えた場合は、文面にどこへ、どのような趣旨で寄付したかを明記します。寄付が故人の遺志であった場合はそのことも書き添えておきます。
また、寄付を受けた機関などからの感謝状や受領証などのコピーを添付しておけば、香典が有意義に運用されたとして、挨拶状を受け取った人も安心することでしょう。しかし、一般的に、香典返しをしないというのも水くさく故人の遺志ではなかったという話もよく間かれます。この点をよく考えて礼をつくすようにしましょう。
地域別の香典返しの時期や相場、マナーとは?
昨今では全国から葬儀・告別式に参列者が訪れることや葬儀の形態が変化しているため地域性は薄れてきていますが、香典返しを贈る時期や表書き、金額相場などが地域によって異なる場合があります。地域ごとに異なる香典返しのマナーを詳しくご紹介します。一般的な香典返しのマナーについてはこちらもご覧ください。
北海道地方
北海道は、一般的に忌明けは四十九日で、この日に僧侶を呼び、法要を行います。道南地域や沿岸部では、この日に「四十九日餅」という餅を祭壇に飾り、法要の後参列者に配ります。
香典返しは、道内のほとんどの地域が即返しで、香典の金額に関係なく、300~500円程度の品を贈っているようです。
東北地方
青森県では、忌明けは七七日でしたが、最近では三七日に繰り上げるのが一般化しています。
岩手県では五七日を忌明けとすることが多く、この日の法要に重点が置かれています。
福島県では、忌明けは七七日ですが、この日までは、餅をついてはいけないという習慣が県内全般にあったようです。
関東地方
茨城県では、七七日を忌明けとするところと一年目を忌明けとするところがあります。
群馬県では、七七日を忌明けとし、四十九日餅を用意して寺へ納めたり、参列者に配ったりします。群馬県の香典返しは、香典の金額に関係なく、一律三千円~五千円程度を即返しする例も見られます。
埼玉県では忌明けを「ぶくぬき」とも言い、四十九日目に法要と埋葬が行われます。
東京都では、忌明けは七七日で、この日に埋葬と香典返しを行います。
神奈川県・横浜市では、七七日に埋葬と香典返しをするのが一般的です。
関東地方では、香典返しの表書きは「志」や「供養」で、お茶や酒、海苔、シーツなど二~五千円程度のお返しが一般的です。
北陸地方
北陸地方の多くの地域では、忌明けは七七日ですが、一部の地域では、忌明けが男女で異なるところがあります。例えば、石川県や福井県の嶺北地方では、男性が七七日、女性が五七日とされています。
甲信・東海地方
山梨県では、忌明けは七七日で、四十九日餅を用意して寺へ納めます。
長野県のほとんどの地域では、七七日を忌明けとし、生活は通常通りに行いますが、実際に喪が明けるのは一年たってからと考えられています。香典返しの金額は、二千円程度が一般的で、香典が二千円以下の場合は、お礼のはがきのみというケースが多いようです。
静岡県では、忌明けは七七日ですが、繰り上げて五七日にする家もあります。忌明けには、親戚 や知人を招いて法要を営み、香典返しを行います。金額は、半返しか三分の一程度。表書きは「志」にして、タオルやシーツなどの繊維製品や食料品などをお返しとする例が多く見られます。また香典返しを葬儀の際に返す即返しも多く行われています。沼津市では、四十九日餅を菩提寺へ納めに行きます。
近畿地方
三重県では、忌明けは七七日あるいは五七日で、忌明けを「満中陰」「仕上げ」などと呼んでいます。七七日には「仕上げの念仏」という法要を行い、この日を目安に香典返しを行います。松阪市の沿岸部では、お返しの品のかけ紙に故人の戒名を記した短冊を添える風習があります。
滋賀県では、七日ごとの供養の日数を、死亡の前日から数える地域と当日から数える地域があります。七七日が忌明けで、「ひあけ」「中陰明け」などと呼び、法要を行ったあと埋葬します。喪家は、忌明けの法要のときに、参列者に引出物を用意するとともに、香典返しを発送します。表書きは「満中陰志」「忌明け志」と記します。
京都府では、忌明けをふつう七七日としていますが、京都市では三か月にこれがまたがるのを避けて、五七日に繰り上げます。香典返しの水引の上から、故人の戒名と施主の氏名を書いた短冊を貼るのが一般的です。
大阪府では忌明けは七七日です。大阪市の一部では、法事に招かれる人々が、あらかじめ参列する人数の供物を持ち寄って祭壇に供え、帰りにそれを分配する風習があります。持ち寄る品は石鹸や醤油などの日用品が主になります。
近畿地方では、葬儀の日に粗供養として五百円~千円程度の品物を「志」の表書きで渡します。香典返しは四十九日以後、半返しが目安で、「満中陰志」の表書きにします。ちなみに半返しの場合、五千円以上ならタオルケットや肌布団などの繊維製品を、五千円以下には洗剤や石鹸、食料品などが多く利用されています。
中国・四国地方
鳥取県では、忌明けは七七日で、「忌み明け」と呼んでいます。香典返しは、葬儀当日の即返しが一般的ですが、鳥取市などでは、後返しを行い、葬儀当日は「茶の子」と表書きした品を参列した人に配ります。
広島県では、忌明けは七七日で、三か月にかかるときには五七日に繰り上げます。法事は「茶の子」と言い、忌明けの法事は「茶の子」「満中陰志」と表書きした引出物を用意しますが、水引の上から戒名を記した短冊を貼るのが一般的です。
愛媛県では、忌明けのときに「形見分け香典返し」として約半返し程度の品を贈る習慣があります。贈る対象は、近親者や特別に親交のあった人で、そのときの表書きは、「形見」「志」あるいは「満中陰志」です。
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