
香典返しとは仏式の習慣ですが、神式の儀式でいただく御玉串料にもお返しを贈るケースがあります。
神式では、仏式と異なるしきたりや言葉づかいも多く、返礼品の準備をする際に「いつ贈るのが正しいのか」「表書きはどう書けばよいのか」と迷ってしまう方が少なくありません。
また、神式独自の表現である「偲び草」とはどういう意味があるのか、神職の方へのお礼はどうすればいいのか悩む方も多いはず。
そこで、本記事では贈る時期や掛け紙など神式で香典返しを贈る際の基本マナーから、神職の方へのお礼の渡し方までわかりやすく解説します。
神式の香典返しとは?仏式との違いや「偲び草」について
「香典」は仏式で使われる言葉でそのお返しである香典返しも本来仏教の風習ですが、神式でも「御玉串料」など金銭をいただいた場合お返しはどのようにすれば良いのでしょうか?
まずは神式での「御玉串料(御霊前)」のお返しについて確認していきましょう。
神式では五十日祭後に「偲び草」などの名目で香典返しを贈るのが一般的
仏式における「香典返し」と同様に、神式でも香典にあたる「御玉串料(おたまぐしりょう)」や「御霊前」「御榊料(おんさかきりょう)」などの金銭をいただいたら、仏式の四十九日法要にあたる五十日祭(ごじゅうにちさい)以降に忌明けの節目として「偲び草(しのびくさ)」などの名目で返礼品を贈るのが一般的です。
「香典」は仏式での呼び方で、神式では「御玉串料」などと表します。
そのため神式では厳密に言えば「香典返し」とは呼びませんが、仏式と同じく、いただいた御玉串料などへのお礼として返礼品を贈る習慣があります。
地域によっては三十日祭を節目にすることもありますが、一般的には五十日祭以降にお返しを贈るケースが多いようです。
神式のお返しについては、地域や家の慣習によって対応が大きく異なるため、最終判断は葬儀社や神職に確認しておくと安心でしょう。
偲び草とは神式の返礼品に使われる表書き
「偲び草」とは、御玉串料(御霊前)へのお返しなど、神式の神葬祭や霊祭の返礼品のことで、表書きには「偲び草」を用いるのが一般的です。
偲び草には、もともと「故人を偲ぶ草(ささやかな品)」という意味があり、故人追悼の意味を込めて表書きに用いられます。
本来、神道には「香典返し」という概念はなかったものの、「感謝を表す形式」にするという日本の風習と宗教に適した表現を採り入れた結果、「偲び草」という用語が定着したようです。
神式と仏式の香典返しの違い
神式と仏式で贈る香典返しには、贈る時期や表書きの書き方が異なります。
| 贈り方 | 神式 | 仏式 |
| 表書きの書き方 | 偲び草 偲草 |
志 満中陰志 |
| 贈る時期 | 五十日祭から1ヶ月以内 | 四十九日明けから1ヶ月以内 |
仏式では、香典返しは「四十九日の忌明け後」に贈るのが一般的で、返礼品の表書きには「志」や「満中陰志」などが用いられます。
これに対して、神式では「五十日祭」という神道の忌明け以降に返礼品を贈り、故人を偲ぶという意味で「偲び草」という表書きを用いる点が大きな違いです。
宗教や地域によって葬儀でいただいた金銭へのお返しの呼び方が異なりますが、どちらも感謝の気持ちを表す贈り物であることは一致しています。
五十日祭など霊祭・年祭では、引き出物を贈る
五十日祭など執り行われる霊祭・年祭では、参列いただいたことへの感謝やいただく御玉串料へのお返しとして引き出物を用意するのが一般的です。
一般的に神式で行われる霊祭・年祭は、下記のタイミングで行われます。
| 行う時期 | 霊祭・年祭 |
| 命日から50日後 | 五十日祭 |
| 命日から100日後 | 百日祭 |
| 命日から1年後 | 一年祭 |
| 命日から3年後 | 三年祭 |
| 命日から5年後 | 五年祭 |
| 命日から10年後 | 十年祭 |
| 命日から50年後 | 五十年祭 |
霊祭・年祭で贈る引き出物は、仏式の会葬御礼や香典返しと同様に後に残らない「消えもの」を選ぶのが一般的です。
お菓子のほか、お茶やコーヒー、調味料や洗剤など、控えめで実用的な消え物が定番として選ばれています。
神式の香典返しの基本マナー
神式の香典返しを用意する際は、失礼のないようマナーを押さえておくことが大切です。
詳細なマナーは地域やご家庭によって異なるため、ここで基本的なマナーを確認しておきましょう。
神式の香典返しを贈る時期は五十日祭から1ヶ月以内が目安
神式の香典返しは、五十日祭を終えてから一か月以内に届くように手配するのが一般的です。
やむを得ず贈る時期を過ぎてしまう場合は、挨拶状にお詫びの一言を添えておくとよいでしょう。
中には、五十日祭当日に参列いただいた方へお渡しする引き出物と合わせて神式の香典返しを贈るケースもあるようです。
地域やご家庭によってお返しを贈るタイミングが異なるため、迷ったら葬儀社やご家族に相談してみるとよいでしょう。
神式の香典返しは半返し〜3分の1程度が相場
神式の香典返しの相場は、仏式と同じく半返し〜3分の1程度が基本とされています。
いただいた御玉串料よりも高額な品物を贈ると、お相手に気を遣わせてしまうため高くとも半額程度に抑えるのが一般的です。
五十日祭の引き出物についても、いただく金額の半額〜3分の1程度を目安に品物を用意するのが一般的です。
ただし、五十日祭当日に神職や参列者と共に「直会(なおらい)」と呼ばれる食事会を行う場合は、お返しの品代を含め、7〜8割を目安に調整するとよいでしょう。
たとえば、いただいた玉串料が1万円の場合、直会の予算と神式の香典返しの品を合わせて7,000円~8,000円程度に収まるよう設定します。
神式の香典返しののし紙(掛け紙)・表書きの書き方

神式で贈る返礼品の掛け紙は、「黒白または黄白結び切り」の水引が印字されたものを使用します。
蓮の花が描かれたものは仏式用の掛け紙のため、神式で贈る返礼品にはふさわしくありません。
掛け紙の表書きには上図のように「偲び草」と書くのが一般的です。
表書きの書き方に迷ったら宗教宗派を問わずに使うことができる「志」と書くと失礼がありません。
また、のし下の名前は、喪主の姓のみまたはフルネームを記載します。
神式の香典返しに添える挨拶状の書き方・文例
神式の香典返しを贈る際は、無事五十日祭を終えたご報告と御玉串料への感謝の言葉を伝える挨拶状を添えるのが一般的です。
基本的な挨拶状の構成要素は、下記の通りです。
- ・頭語
- ・ご厚志へのお礼
- ・五十日祭終了の報告
- ・偲び草のしるし
- ・結語
- ・日付・施主
神式で贈る香典返しに添える挨拶状の書き方に迷ったら、下記の文例を参考にアレンジしてみるとよいでしょう。
シャディギフトモールでは、神式用の挨拶状を簡単に作成できる無料ギフトサービスをご用意しております。
文例にお悩みの方は、ぜひご利用ください。
謹啓
御尊家御一同様愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日 故母(続柄) 花子(俗名) 儀
帰幽の際は 御懇篤なる御弔意と過分なる御玉串料を賜り御厚情の程
誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして 五十日祭を滞りなく相営みました
早速拝眉の上 親しく御礼申し上げるのが本意でございますが書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます
敬具
令和 年 月 日
○○○○
追伸 偲び草のお印までに粗品をお届けさせて頂きましたので御受納下さいます様お願い申し上げます
神式の香典返しの選び方・おすすめギフト
ここでは神式の香典返しにふさわしいギフトの選び方、おすすめの品をご紹介します。
神式の返礼品の選び方
神式の返礼品を選ぶ際は、仏式と同じく後に残らない“消えもの”や実用品を中心に考えます。
たとえば、お菓子やお茶・コーヒー、調味料、洗剤、タオルなど、世代を問わず活用できる品が定番です。
ただし、生ものや保存が難しい食品は、お相手がもらって困ると感じてしまう可能性があるので避けたほうがよいでしょう。
五十日祭当日など手渡しで贈る場合は、お持ち帰りいただく際負担にならないよう軽くて持ち運びしやすい品物を選びましょう。
神式の香典返しで人気のギフト
神式の香典返しでは、消費しやすく、保管のしやすい品物が人気です。
特に人気のある香典返しギフトは、次の5つです。
- ・お菓子
- ・お茶・コーヒー
- ・タオル
- ・洗剤ギフト
- ・カタログギフト
たとえば、上質なタオルや洗剤セット、日持ちするお菓子やお茶・コーヒーといった品であれば、幅広い年代の方に喜んでもらえます。
また、お相手の好みがわからず、何を贈ったらいいかわからないと迷ったときはカタログギフトを選ぶと失礼のないお返しが贈れるでしょう。
五十日祭当日に香典返しをお渡しする場合もカタログギフトならお持ち帰りしやすいので、喜ばれます。
神職(神主)へのお礼の基本マナー
神式の儀式でお世話になった神職(神主)の方には、さまざまなお礼をお渡しするのがマナーです。
ここで神式の儀式でお世話になった神職(神主)の方へ贈るお礼の基本マナーを確認しておきましょう。
神職の方へ贈るお礼の種類・相場
神式の儀式でお世話になった神職(神主)の方には、下記の謝礼をお渡しするのが一般的です。
- ・祭祀料:3~7万円程度(五十日祭の場合)
- ・お車代:5,000~10,000円程度
- ・御膳料:5,000~10,000円程度
神式で儀式を執り行う場合は、神職(神主)の方へお礼として「祭祀料(さいしりょう)」をお渡しするのが一般的です。
祭祀料とは、仏式でお坊さんにお渡しする「お布施」と同じ意味で、白無地の封筒の表書きに「御祭祀料」「御礼」と書いて神職(神主)の方へお渡しします。
お渡しするタイミングは、すべての儀式が完了したタイミングでお渡しするのがマナーです。
また、会場までお越しいただいたお礼として「お車代」、直会(食事会)へ参加されない神職(神主)の方へは「御膳料」なども、祭祀料とは別にお渡しします。
神職(神主)の方へお渡しするお礼の種類や金額は、地域や神社によって異なるので事前に確認しておくと安心です。
神職の方にも引き出物をお渡ししたほうがよい?
五十日祭など霊祭でお配りした引き出物は、祭祀料などの謝礼とは別に神職(神主)の方にもお渡しするのが一般的です。
神職(神主)の方への引き出物は、参列者にお渡しする品をそのまま手渡して問題ありません。
儀式を終えたら、祭祀料と共に引き出物を神職(神主)の方へお渡ししましょう。
神式の香典返しでよくある質問
最後に神式の香典返しで多く寄せられる質問に3つ回答します。
「神式で贈る香典返しで避けたほうがよいタブーはある?」「高額な玉串料へのお返しはどうする?」など気になる質問に答えました。
一つずつ確認していきましょう。
神式で避けたほうがよいタブーはある?
神式の香典返しでは、仏教語を使った挨拶状や、仏具モチーフの返礼品は避けるのが無難です。
たとえば「供養」「成仏」などは仏式表現となるため、挨拶状を書くときは「御霊(みたま)のご平安をお祈り申し上げます」といった表現で整えるとよいでしょう。
また、香典返しで贈る品は、生ものや縁起の悪い品物はタブーとされており、お祝いで使われるお酒や昆布、鶴や亀などの意匠の品も避けたほうが無難です。
包装も派手なパッケージや紅白や金などの装飾は避け、掛け紙も蓮柄の入っていない神式でも使える種類を選びましょう。
高額な御玉串料をいただいた時のお返しは?
5万円や10万円など、高額な御玉串料をいただいたときは、半額ではなく3分の1〜4分の1程度のお返しでもよいとされています。
ご遺族の負担を考えて包んでいただいているケースが多いため、無理に相場通りのお返しを贈るよりもお心遣いをありがたく頂戴し、感謝の気持ちをしっかりと伝えるほうが喜んでもらえるでしょう。
高額な御玉串料への返礼品に悩んだら、好きな商品をお選びいただけるカタログギフトがおすすめです。
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五十日祭でお供え物や供花をいただいたらお返しは贈るべき?
霊祭でお供え物や供花をいただいても、お返しの品を用意する必要はないとされています。
五十日祭などの霊祭でいただく玉串料に対してのお返しは必要とされていますが、故人へのお供え品についてはお礼のみでお返しの品を用意しなくても問題ありません。
ただし、高額なお供え物や供花をいただいた場合は、ささやかでもお礼の品を用意したほうがよい場合もあります。
お返しを用意するならお供え物といただいた御玉串料の総額から、半額〜3分の1程度になるよう品物を選ぶと失礼がないでしょう。
お供え物や供花へのお返しについては、地域や家庭の方針で贈る・贈らないと決まっているケースもあるので、詳しくは葬儀場や親族に確認してみるとよいでしょう。
神式の香典返しの基本マナーを守って失礼のないお返しを

神式の香典返しは、五十日祭を過ぎてから1ヶ月以内に贈るのが基本です。
表書きには「偲び草」や「志」を用い、のし紙や挨拶状のマナーに気を配れば、相手に失礼のない返礼ができます。
地域やご家庭の慣習によって細かな違いはあるものの、「感謝の気持ちを丁寧に伝えること」こそが一番大切なマナーといえるでしょう。
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